交際中の男女のどちらかあるいは両方に配偶者や子供がいる状態、いわゆる不倫の場合、それは必ずいつか終焉を迎えます。お互い、離婚するから大丈夫と口約束されても、本当に信用できますか?

もし、お互いのあるいはどちらかの配偶者に知れた場合、慰謝料請求や養育費という経済的な負担を強いられるはずであり、そのことを無視して不倫当事者の当人たちが簡単に離婚し、幸せに結ばれるケースは、クライアントを見てきて殆どありません。離婚し、再婚できる展望がないのであれば、関係性を保ち続けるのでなく、きちんと自分の幸せをつかむことを考え直された方が良いと思います。

しかし、既に情が移って別れにくくなっていたり、ストーカーなどの犯罪に発展することが怖い、でもいずれにしろ何とか上手に別れたいとお考えの方。こちらでは、浮気相手と別れたいと思っている男性や女性が、「浮気相手と上手に別れる方法」や「別れたくないけど、配偶者に別れを迫られている時の対処法」に参考になる内容を、法律家の視点を交えてお話致します。

 

  1. 浮気相手と、好きだけど別れるケース例

男性クライアントの場合、「職場での立場を気にする」「仕事も家族も失いたくない」という愛情よりも社会的立場を優先に考えるケースが圧倒的です。一時の火遊びのつもりがずるずると関係を続け、気づいたら自分の立場が危うくなってきた時に後悔するパターンです。

一番ひどかったケースは、高校の男性教員が風俗嬢に入れ込んでしまい、アパートを借りて彼女と同棲した案件です。やはり高校の教員である妻に風俗店に行ったことがばれて自宅を追い出されたことが発端です。不倫相手には幼い子供と長期出張の夫がおり、いわゆるW不倫状態でした。しかしながら、男性教員は風紀担当の学年主任であり、職を失うことが怖くなり、また自分の娘にも会いたい一心で、彼女に別れを告げました。

しかし、彼女は本気であったため、LINEで1日数十通連絡を入れ、返信がないことが続くと、とうとう男性教員の職場の運動会に押しかけ、職場にばれてしまいました。結局、男性教員は免職となり、自分の妻とは離婚し慰謝料請求されました。同時に彼女の夫からも慰謝料請求され、800万円の支払額を抱え、今は実家で年老いた母親と二人暮らしです。

女性クライアントの場合、「離婚しても生活費を多くもらいたい」という金銭を優先に考えるケースが多いです。ひどいケースでは、自ら不貞を働き、子供を連れて浮気相手と結婚の約束までとりつけたのに、夫からの慰謝料請求が怖くて一旦浮気相手と別れ、慰謝料支払いを免れました。夫とは協議離婚で養育費をせしめた後、また別の若くて年収の高い浮気相手を見つけました。

また、女性は出産のことを考えるケースもあります。どうしても年齢的にタイムリミットがあるため、なかなか離婚して自分と結婚してくれない男性にしびれをきらし、わかれるケースもあります。

全体的に、男性は追い詰められ、女性はしたたかに振る舞う印象です。

  1. 既婚男性が、好きだけど浮気相手と上手に別れる方法

「浮気は男の甲斐性」と自分の不貞を正当化する男性や、「浮気の一つや二つできない男なんて」という女性もいます。しかし、そのようなことを言う気丈な女性も、実際浮気をされて涙を浮かべて相談に来ることもあります。本音は寂しかったり、逆上して何をするかわからない感情に行動が左右されるのが女性です。そのため、家庭を崩壊させたくなければ、穏便に済ませるのが賢明です。そのための方法を経験から開示したいと思います。

方法①:時間をかけて相手と距離を置いていく

「電話やメール、LINEの返信に出ないようにしていく」、「会う頻度を少なくし

ていく」などが常套手段です。少しずつ距離を置くことで、不貞したことを考えさせ、気持ちを整理させていくことが一つの方法です。

方法②:一緒にいると結婚できない、不幸になると諭す

よくある別れる言い訳として、「君と再婚しても、前の妻に慰謝料や養育費を

長い間払わなくてはいけない。だから、君を不幸にしてしまうので関係を清算したい」というものです。

方法③:自分の身を守りたい理由をきっぱりと言う

これは、上記方法①、②などの後に言うのが効果的です。いきなり言うと相手を傷つけます。未練がましさがあるとひきずりやすいので、はっきりと伝えてください。しばらく相手からしつこく電話やメールがあるかもしれませんが、あまりひどいようであれば、着信拒否や電話番号を変更するのも手です。

  1. 既婚女性が、好きだけど浮気相手と上手に別れる方法

女性が浮気相手と別れたい場合、前述の「方法①:時間をかけて相手と距離を置いていく」は共通して使える手です。しかしながら、「方法③:自分の身を守りたい理由をきっぱりと言う」は女性の場合、男性の暴力やストーカー行為を誘発する恐れがあります。

既婚女性から男性には「あえて別れ話を自分からしない」方法が有効です。

なぜならば、浮気や不倫をする男性心理は、一時期の火遊び感覚に近いものがあるためです。女性が身を引こうものなら、後ろめたく思っている男性、特に家庭を持つ男性には都合が良いこともあり、独身女性ならまだしも既婚女性は追わない傾向があると思います。

また、別れ話をせず、距離を置けば、時間の経過とともに男性は冷静な判断をくだせるようになります。なぜならば、男性には仕事や立場、家庭など生活の柱であるため、失うものが多いためです。メールやLINEでの別れ話も、行き違いや感情のすれ違い、誤解を招きやすいため、こちらの手段もあまり使わない方が良いと考えます。

  1. 法律的に、別れた後トラブルにならないようにやっておくべきこと

別れた後のトラブルとは、「浮気の再発」「職場や家庭への情報漏えい」「損害賠償として慰謝料請求」などが相当します。これは、不倫をした本人や家族を、法律的に浮気や不倫の相手から守る方法なので、浮気や不倫が発覚した場合に限られます。

その際にけじめをつけ、平穏な家庭生活を取り戻す手段として、「不倫の誓約書(示談書)」を作成する方法があります。誓約書には「相手方との間の誓約書」「夫婦の間での誓約書」の2種類があります。どちらか一方、あるいは両方作成するケースもあります。作成のポイントを大まかに示すと5点あります。

ポイント①:不貞の事実を認めて謝罪条項を入れる

ポイント②:慰謝料についてどうするのか、金額も含めた規定を入れる

ポイント③:交際が継続されないよう約束させ、ペナルティ条項を入れる

ポイント④:将来、本件が蒸し返されないよう解決した旨の清算条項を入れる

ポイント⑤:夫婦間でも不倫相手や新しい不貞行為を伴う交際を抑止させるため、

具体的に誓約事項を定める

浮気や不倫相手が許せないからといって、不法な制裁手段をとるのではなく、合法的にこのような誓約書(示談書)を作成して穏便に、不始末を清算しましょう。

  1. 浮気相手と、好きだけど別れるときのまとめ

浮気や不倫は、どんなに好きでも不貞行為であり、法律的には共同不法行為として、

慰謝料請求の対象となります。男性、女性ともその代償の大きさを認識し、冷静に考えることをお勧めします。相手や家族と真摯に向き合い、これまで述べてきた方法を参考にして、一日でも早く平穏かつ幸福な生活を取り戻してください。