不倫したからと言って離婚は即できるものとは限りません。それは、相手があることですし、夫婦とは不思議なもので愛情がなくとも夫婦でいることを望むこともあります。

 理由としては、「まだ愛情が多少残っている」、「子供の成長を考えて両親が揃っていた方が良い」、「離婚したら生活費に困る」、「会社やご近所、親戚などの世間体が気になる」、「セックスレスはどの夫婦も同じ」など色々言われます。

 今回は、夫婦のいずれかが絶対に別れたいと思っている方向けに、その実現方法と影響についてお話致します。

妻と離婚したいが、妻が納得しない時に離婚する方法

これといった離婚原因がないのに、一つ一つ小さい理由を積み重ねて離婚したい、と

思う男性は意外に多いと感じます。離婚したいなら、まずは妻に離婚したい理由をきちんと説明することが基本です。「妻のどのような点にいらいらするのか」、「どのように行動して欲しいのか」、「それでも態度が変わらないなら離婚したい」ときちんと言葉で明確にすれば妻に伝わるかもしれません。

参考までに、離婚するには協議離婚なら「離婚したい」という意思だけで理由は不要ですが、もし裁判になると離婚原因が必要であることを覚えておいてください。

次に、離婚したいならその意思を示すために、「別居」から始めると別れやすくなります。別居の次には「調停」です。調停は手続きが簡単で費用もあまりかからないのですが、半年から一年程度の時間を要し、裁判に発展する可能性もあることから相手が嫌がって離婚につながるケースも多いです。

また、調停のような正攻法でなく、相手から嫌がられるように仕向ける方法もあります。少し芝居がかりますが、だらしのない生活態度を演じる、妻に嫌がられる行動をして、妻から逃げ出すような手段です。ただ、やはり穏便に済ませるのであれば話し合いによる協議離婚の方が良いと思います。

やはり、妻に誠実に向き合い、弁護士など第三者を入れて解決する方がフェアですし、一番の近道ではないでしょうか。

私の男性クライアントを見てきた限り、妻がすぐに感情的になったり、離婚話をはぐらかされたりと話し合いになるまでに時間を要すケースが多いです。

行政書士はトラブルに発展した場合に仲介できませんが、そのようなケースになれば弁護士に依頼することになります。

不貞行為を隠したまま離婚する方法

特に男性クライアントに多いのが、「慰謝料を払ったり、世間体が悪いので、不貞行為

を何とか隠して離婚できないか?」という相談です。人道的には何とも言えない気持ちになりますが、確かに不倫の慰謝料は数十万円から200万円以上になる可能性もあるため、依頼に沿うようアドバイスをすることがあります。

その方法は、「不貞行為の具体的な証拠を消す」という作業です。相手とのメールやLINEといったSNSの情報、ホテルでの写真、ホテルの領収書などは不貞行為の証拠になるので、相手にばれる可能性のあるものは全て消去します。また、間違っても浮気を認める発言をしてはいけません。

特に女性は敏感で浮気チェックと証拠探しをすぐに始める傾向がありますので、男性はご注意ください。

浮気が原因で離婚して後悔した事例

 相手が不貞行為を冒したことに逆上して、その勢いで離婚してしまい、後悔したが後の祭りといったケースを何度も見てきました。特に多い事例を2つご紹介します。

 一つ目の事例は、「調停中なのに、妻が家具一式や貯金を全て持って出ていってしまった」というものです。調停の申立てをしたはいいが、時間を要すため、相手が財産を勝手に処分してしまうケースです。

 このような事態を防止するためには「調停前の仮の処分」を家庭裁判所に依頼します。

すると、調停委員会が当事者及び関係者に対し、必要な処分を命じてくれます。

但し、この処分に執行力はなく、相手に強制できません。そのため、執行力のある「審判前の保全処分」という申立てをすれば良いです。保全処分は、財産分与事件だけでなく、子の監護、親権者の指定変更、同居・協力・扶助、婚姻費用分担などの事件で申立てができます。

 二つ目の事例は、「離婚の際に、養育費の支払いを口約束したが、離婚後に夫が失業や借金のため養育費を支払ってもらえない。」とトラブルになって初めて相談を受けるケースです。離婚協議書は裁判での証拠になりませんが、離婚公正証書にしておけば裁判での強制力になります。難しいかもしれませんが、一時の感情よりも、将来の生活の準備を冷静に考えてから離婚しましょう。

離婚すると言ってしない男に愛人が法律的にできること

離婚の慰謝料は、「離婚原因を作った側」もしくは「責任の重い側」から支払われます。

内縁関係の男女でも同様なのですが、不倫関係があった場合、公序良俗違反で関係が無効とされる考え方もあり、慰謝料請求できるかはケースバイケースです。

 尚、内縁関係や未婚同士の同棲の調停・審判での慰謝料および財産分与が認められたのは、当該事件全体の約4割程度で平均額は220万円程度と言われています。正式な夫婦の離婚と比較すると約半分です。

 上記のように、内縁関係や愛人が請求しても慰謝料は決して多くはないのですが、中には「妻とは別れる」と嘘を30年つき続けた資産家に、裁判所が不当破棄だと慰謝料1,000万円の支払いを命じたケースもあるので、心当たりのある男性はご注意ください。

離婚する方法まとめ

夫婦を中心に離婚したい側の立場からお話をしてきましたが、やはり都合の良い別れ方

はないと思います。誠意を持って、相手の意思を尊重し、最終的には金銭で関係を清算するのが良いと思います。嘘で取り繕ったり、相手をないがしろにすると、いずれしっぺ返しが来ます。一度は生涯の伴侶と心に決めた相手であるからこそ、きちんと向き合い、納得のいくお別れをする方が、お互いの次の幸せな人生のステップに繋がると思うのですが、いかがでしょうか。